The party in the high castle

遥かなる高みに聳える、アタラクシアの砦を目指して

英雄ヴァルフィッシュ・イェーガーと火のエレメント

 カール・シュミット『陸と海 世界史的な考察』を買った。まだ全ては読んでいないが書店で斜め読みしたところ、第5章「鯨と捕鯨者を称えて」が一際目についた。

 メルヴィルが『白鯨』で描いた捕鯨漁師「ヴァルフィッシュ(鯨)・イェーガー(狩人)」こそが、それまで沿岸部につなぎとめられていた人類が大洋に進出する先頭に立ったのだという。中世の海洋覇者ヴェネチアも、所詮は「内海文化」のチャンピオンに過ぎなかった。捕鯨の民こそが、初めて海のエレメントのうちで生きるようになった「海の子」だった。

 そして第20章がまた興味深い。「陸」と「海」という二つのエレメントに加え、「空」そして「火」が加わるという。空は航空宇宙技術と電脳世界(Digital technologyを含む)、火はエネルギー、具体的には化石燃料原子力を指すのだろう。シュミットはこの4大エレメントの関係や構造については言及を避けている。「真面目な考察と空想的な施策が入り交じっていて、まだ予想のつかない活動範囲が広がっているから」らしい。

 僕はライフテーマを海とエネルギーと言ってきた。海を巡る文化や歴史、国際関係が好きであると同時に、技術を核としたエネルギー問題にも強烈な関心があるからだ。シュミットが予見しつつ深入りを避けた「海」と「火」というエレメントを、ゆくゆくは自分の言葉で語りたいと思う。