2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『現代日本の地政学 13のリスクと地経学の時代』日本再建イニシアティブ 中公新書

いわゆる日本の政治学エスタブリッシュメント(なのかはわからないが)が、真剣に地経学の話を議論している。そして我らがパラグ・カンナの本も引用されるなど、最近のマイブームを凝縮してくれたような本。当然面白い。 地経学の重要性とかは自分は結構わか…

中東狂騒曲

僕はイスラエルとパレスチナに1ヶ月弱ほど滞在したことがあって、中東には今でも興味がある。政治学徒として、露骨な「パワーゲーム」が展開される中東は、「歴史」が常に生き生きと動いていて、知的好奇心をくすぐるのだ。 ただし、そこで起きていることは…

古典的冒険譚と植民地主義

大げさなタイトルですが、今回のテーマはゲームです。テレビゲーム。 好きなゲームを三つあげろと言われたら、ゼルダとメタルギアとアンチャーテッドをあげます。今回は最後のアンチャーテッドのお話。 アメリカのnaughty dogというスタジオが作っているゲー…

『TPP亡国論』中野剛志

中野さんの本は『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』に続いて。TPPについては学生時代、北京大・ソウル大・復旦大・台湾大と東大で議論する機会があったんだけど、「まー推進っしょ〜」みたいなノリで見ていた部分があったので、いざ振り返ってみると新…

『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』中野剛志・柴山桂太(集英社新書)感想

掲題の本、読了しました。 『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』に引き続き、自由主義・グローバリズムって果たして今後も続くのか、そもそもグローバル化って良いことなのか、というお話。 戦後すぐに資本主義の黄金時代が来るが、これはGATT体制によると…

国家の論理と企業の論理Ⅱ 地経学時代、パワーとしての接続性

昨日のテーマの続き。 「中国の投資が増えている」「イギリスはやはり賢い」「日本はだからダメなんだ」と、国家を主語にするケースは多い。政府の動きを説明する時ならば違和感はないが、企業の投資動向、戦略動向を指すときもこういう言われ方をされるのは…

国家の論理と企業の論理

国家対市場というのはかなり面白いと思うテーマの一つだ。19世紀的帝国主義の時代なら、国家の利益と企業(産業資本、金融資本)の利益はほぼ同一で、だからこそセットになって植民地支配を拡大していった。そこでは国家の拡大(=軍隊展開と行政管理)はす…

ブログ名について

開設直後のためトライアルも兼ねてエントリ数多めで。 「空中楼閣」は現代文明をイメージしています。ラピュタのような感じです。それはある種の魔法によって宙に浮いている訳でですが、その魔法とは要は高密度エネルギーです。つまり、産業革命での石炭動力…

『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』感想

水野和夫著『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』集英社新書 2017年 掲題の書籍を昨日、読みました。フロンティアを開拓して成長することを前提としている資本主義は、開拓すべき空間を失った以上、もはや維持できない。民主主義国民国家は国民感の平等=福…

自己紹介

はじめまして。私は若手会社員で、資源エネルギー関連の業界にいます。 このブログでは自分の頭の整理と(願わくば)世の中への発信を目的として、興味関心に沿って日々の雑感の記述、書評、ニュースへのコメントをしたいと思います。関心のある分野は地理と…