NSV地政学:改 - FEWS地政学論

NSVとは、

 N: Nervous system

 S: Skeltal system

 V: Vascular system

である。地球上のインフラストラクチャーをこのように区分するのはDr. Parag Khannaである。

www.paragkhanna.com

 

Nervousは神経即ち通信インフラ(インターネットケーブル、データセンター、衛星)、Skeltalは交通(鉄道、道路、空港、港湾)、Vascularはエネルギー(石油ガスプラント、パイプライン、製油所、発電所)を指すと。

 

私はVascularの中に水インフラを含んでも良いと考える。Energy-Water nexusという言葉が示すように、両者はその生産や使用の形態において密接に関わっているからだ。

 

NSVはdual-useである。つまり民生用でもあり軍用でもある。また、敵のNSVを無効化する能力という形で軍事力を定義することもできよう。

 

今まで必須資源即ちVRと、そのイネーブラーとしてのVTという構造を考えてきた。FEWSというVRの概念は引き続き残しつつ、VTの中身をNSVと定義することができるのではないか。Food, Energy, Water, Shelter (=軍事力とする)と、それらを利用可能ならしめるイネーブラーとしてのNervous, Skeltal, Vascular systems。NSVはインフラの基本類型であり、各種FEWS資源は、NSVに一部あるいは全面的に依拠して生産流通消費される。石油開発は、それ自体がVasucular systemを構成しつつ、同時にSkeltalやNervous systemに依存している。逆もまた然り。

 

FEWS資源を保有する国家が権力を持ちうる、というのはあまりに自明なので、殊更強調する意義に乏しい。むしろ、FEWSを利用可能ならしめるテクノロジーの提供者に権力が部分的にであれば移行する、というプロセスこそ興味深いだろう。VRであるFEWSへの注目は落として、VTであるNSVにスポットを当てようというのが、「NSV地政学」なる名称の意図である。

 

そしてそのNSVを考える上では、当該プラントやシステムのライフサイクルバリュー、あるいは多発する自然災害を予め加味したレジリエンスといった要素をいかに実現するか、そのノウハウ即ちLifecycle Value Maximization  (LCVM)に焦点を当てていこうと思う。