善く生きるとは 3

結局まとめると、私にとっての「善い生き方」は以下3点をバランスよく実現している状態のことを言うのではと暫定的に結論付けた。 1:自分自身が幸福でいること 2:可能な限り多くの他者を幸福にすること 3:誰も不幸にしないこと 1は、ストア哲学におけ…

善く生きるとは 2

「善」の定義は色々厄介なので、とりあえず、自分が幸福であること=善く生きること、としてみる。自分の幸福を形作る要素は何か。 ①優しさ、博愛:イエスキリストほどとは言わないが、他人に優しいこと、その中身は、他人の幸福を願い行動することだと思う…

善く生きるとは

人生の目的は何か。幸福になること。では幸福とは何か。善く生きること。善く生きるとは何か。足るを知り、優しさと誠実さを保って生きること。優しさとは何か。他人の幸福を願うこと。誠実さとは何か。責任を全うすること。 自分の幸福が、善く生きる即ち他…

『人生を〈半分〉降りる』で解毒されました、というお話

中島義道さんの本を読んだ。内容は実際に読んでもらうとして、これを読んで感じたことを書き殴りたい。(と思わせるような面白い本でした) 公共的なことに関わる時間なんてなるべく少なくして、自省せよ、自分の人生の意味を考えよ、という感じの内容だと思…

エネルギー収支から考える未来 オルロフ『崩壊5段階説』を手掛かりに

【以下で述べることはツイッターでダラダラ書いたことを備忘と頭の整理を兼ねて記述するものであって、嘘や飛躍が多々混じっているかもしれないこと先にお断りします。】 エネルギー収支、即ち1単位のエネルギー投下によって得られるエネルギー量、言い換え…

英雄ヴァルフィッシュ・イェーガーと火のエレメント

カール・シュミット『陸と海 世界史的な考察』を買った。まだ全ては読んでいないが書店で斜め読みしたところ、第5章「鯨と捕鯨者を称えて」が一際目についた。 メルヴィルが『白鯨』で描いた捕鯨漁師「ヴァルフィッシュ(鯨)・イェーガー(狩人)」こそが…

ジャック・アタリ『海の歴史』

この前買った本もまだ読み終わっていないから、本屋には行ってはいけない。衝動買いで積ん読が増えてしまうから。そう思いながらもふらっと丸善に吸い込まれぶらぶらしていると、案の定、その美しい表紙と魅力的なタイトルが、海の魔物セイレーンの如く誘惑…

『ホモ・デウス』を読んで考えた色々

ユヴァル・ノア・ハラリの新作『ホモ・デウス』を読んだ。前作『サピエンス全史』も非常に面白かったけど、こちらも劣らず刺激的。今作はテクノロジー、特に人工知能や生命科学の進歩による近未来の思想的革命について考察しているのだが、その詳細には立ち…

五能線の絶景と歴史浪漫を味わう〜鰺ヶ沢・深浦・十二湖〜

僕の実家にはJR東日本のカレンダーがいつも掛かっていた。各所の路線と絶景を題材にして、季節感ある美しい写真が載っているのだった。その中の一つには、日本とは思えない猛々しい岩と真っ青な海、そして海岸沿いに続く線路という、異国感もありながらどこ…

『歴史を変えた6つの飲物』:これぞ日常の歴史浪漫…

面白い本に出会った。『歴史を変えた6つの飲物』トム・スタンデージ著、楽工社。 「歴史×飲物・嗜好品」は、最強の組み合わせである。今日はこの組み合わせがなぜ浪漫をかきたててやまないのか書き連ねたい。 そもそも本ブログにおける歴史浪漫とは何か。要…

また靴を磨きました。

前回に引き続き、リーガルのファクトリーストアで買ったこの靴。 磨きやすく、結構簡単に光るので磨きの悦に浸りたときはこれをチョイス。 いつも通り、Boot Black黒で先っちょを撫でればアンティーク調の仕上がりに。 段々と慣れてきたのか、昔は軽く30分は…

「可動式の主権地」〜地経学アセットとしての海洋資源開発〜

我らがパラグ・カンナの著書『接続性の地政学』下巻に、「可動式の主権地」というお洒落なワードが出てくる。紹介されているのは中国やブラジルが海洋資源開発に使用している浮体式プラントである。その意味するところ、すなわち以下の通り。 海洋は陸地と同…

趣味としての靴磨き 〜鏡面仕上げ2〜

地政学とか文明論とか、ビジネススキルとか色々つぶやいていたが、靴磨きのエントリーが一番伸びているのを見て何かを悟った僕は、懲りずにまた靴磨きの投稿をします。 ご覧ください。手が写っています笑。もう5年以上前に買った靴なんだけど、当時はまだ学…

相対化で見えてくる「価値」

ふと思った。「価値」や「強み」って何だろうか。絶対的なものだろうか。答えはノーで、相対化して初めて価値だったり強弱が見えますね、というごく当たり前の話。 以前スキルの三階層という記事を書いたが、例えばTier3の仕事をしながら、そのレイヤーの人…

スキルの三階層

ベタな自己啓発本みたいだが、ビジネス上のスキルを自分なりに構造化してみたので書いてみることにする。 Tier1はビジョン構想力とリーダーシップ、Tier2は戦略とマネジメントシステムの構築力及び実行力、Tier3は個別事業に即した専門知識(いわゆる「現場…

アートとしての「組織論」

ビジネスの世界には色々な領域があるが、そこにはいわゆるハードスキルがある。場合によっては公的なcetificationがつけられて、プロフェッショナルとして特殊な世界を構成する分野もある。今回は重要な一分野でありながら、ハードスキルを定義するのが難し…

2018年の抱負

自然、クラフト、歴史。この3本の矢としてのcore preferenceに基づいて自分をどんどん拡張していくのが今年の抱負です。で、具体的には?というお話をしたい。 結論から言うと、「ソロキャンプ」「ギター&ウクレレ」「靴磨き」「投資」「ポルトガル語」の4…

趣味としての靴磨き 〜鏡面仕上げ〜

最近靴磨きにはまっている。もともと靴や鞄といった革製品が好きだったが、靴に関してはそれほどこだわることもなく、それっぽい革靴を、適当にクリームを塗って履いてきた。去年くらいから、ちゃんとしたファッションとして靴を履きこなそうという思いが湧…

フェルナン・ブローデル『地中海』

『地中海』を買ってしまった。最初の一巻だけで、まだ読み始めたばかり。だがこれがアカデミズムの一派を作り上げた記念碑的作品なのか、と思うほどの滑らかさ、饒舌さ、情景の豊かさがある。僕が好きな作家・ジャーナリスト、例えば元Atlantic誌のカプラン…

core preferenceと心の安定

「なんか好きな雰囲気だな」と感じる色彩、風景、世界観、写真は、人によって収斂してくると思う。最近インスタを再稼働させて改めてそう思った。とりとめもなく「いいね」していった写真を後で振り返ると、同じパターンにまとまっているのだ。僕の場合、革…

アラブvsユダヤの終わり

www3.nhk.or.jp イスラエルとアラブは因縁の仲、と言うことで我々は長らく学校で教わってきたわけだが、イスラエルの第一の敵はイランで、これは多分昔からそう。パレスチナとの戦いはあるかもしれんが、イスラエルが圧倒的優位であって、必ずしも「脅威」で…

沸騰するルブアルハリ

サウジアラビアが超ホットである。外部要因としてイエメンからのミサイル攻撃と撃墜、レバノンによる宣戦布告(とサウジが勝手に言っているもの)、内部要因としては王族ら超有力者の急激な粛清、そしてウラン濃縮ニュースまで飛び出している。ぬるま湯に浸…

データは新しい石油か

IT時代、いやビッグデータ時代、基いAI時代において、データは21世紀の石油だと言われる。データが重要でかつ金を生むのは肌感覚で十分理解できるが、果たして石油に相当するものなのか、というのは、まだ整理がついていない。 www.economist.com 20世紀の石…

学生的思考回路における企業の「すごさ」

たまたま就活学生と話す機会があった。誰だって「すごい」「かっこいい」企業に行きたいわけだが、「すごさ」とは何なのか。売り上げが大きいと「すごい」のか。数千億円投資している会社は「すごい」のか。思うに、「すごさ」は戦略優位があるかどうかに尽…

蘇るヒジャーズ:アラブーイスラエル鉄道計画

こんなニュースが飛び込んできた。 www.nikkei.com 「地経学」ど真ん中の、非常に刺激的なニュースである。イランの台頭が明らかになりつつある今、イスラエルは敵を一つに絞りつつある。毛沢東が言ったように、二正面作戦は敗北の布石であり、戦力の集中こ…

サウジアラビア:庇護者はアメリカから中国へ

経済戦後レジームはドルと石油に彩られた。ドルの中心はアメリカだが、石油の中心は中東、とりわけサウジアラビアであった。サウジのガワール油田は日量500万バレルを吐き出すが、これは地球全体の生産量の5%強を占めるという尋常ならざる規模である。サウ…

現場主義と忖度がもたらす貧弱なマネジメント体質

よく日本型組織は現場は優秀だがマネジメントシステムの構築や戦略性が欠けていると言われる。半世紀前の敗戦も同様の文脈で説明することができる、という本もある。僕は日本企業にいるが、訳あって日本人はマイノリティという特殊な環境で数ヶ月働く機会が…

エネルギー安保再考 〜「権益主義」批判〜

エネルギー自給率が100%以上の国は、エネルギー安保など考えなくて良い。自給率が下がるほど、また一人当たりエネルギー消費量が多いほど、その重要性は高まってくる。日本ほどこの重要性が際立つ国もそう多くあるまい。 経産省の方針はかなりリアリステ…

Fire is not dead. 『パリ協定で動き出す 再エネ大再編』井熊均・瀧口信一郎 日刊工業新聞社

エネルギー三大市場としてのEU、中国、アメリカは「ファイアー&ウィンド」すなわち石炭・天然ガスによる火力発電を中軸としつつ、2〜3割程度風力を中心とする再エネが占める、という構図が一般的になるだろう、という。技術的制約から再エネ一本になること…

シンガポールとイスラエル

繰り返すようだが、僕はイスラエルに格別興味を持っている。学生時代にみたイスラエルは、僕が考える「国力」や「国家の戦略」といった見方のバックボーンを形成している。社会人になってからは、半年弱シンガポールに滞在する機会があって、植民地支配の残…